北海道の簡易郵便局が一時閉鎖|原因と再開時期を解説

北海道内にある6つの簡易郵便局が、2025年5月下旬以降、一斉に「一時閉鎖」されました。

対象となったのは、いずれも過疎地にある郵便局。

年金の引き出しや荷物の発送ができなくなり、地域住民に大きな混乱が広がっています。

閉鎖の背景には、日本郵便と自治体間の契約に関わる「雇用形態の問題」がありました。

なぜ、このような事態が起きたのか。住民の生活にどんな影響が出ているのか。

この記事では、道内6局の簡易郵便局が閉鎖された理由と今後の対応について、わかりやすく解説します。

目次

一時閉鎖の簡易郵便局で何が起きた?

2025年5月下旬、道内6つの簡易郵便局の一時閉鎖が突然発表されました。

どの郵便局が対象となったのか。地域や住民にどのような影響が出ているのかを整理します。

対象となった6局の所在地と役割

閉鎖対象の簡易郵便局は、以下の6局です。

  • 幌加内町「沼牛」
  • 島牧村「歌島」
  • 島牧村「島牧元町」
  • 島牧村「後志豊浜」
  • 島牧村「原歌」
  • 知内町「知内駅前」

それぞれが地域住民の生活インフラとして機能していました。

これらの簡易郵便局は、郵便・ゆうちょ・公共料金の払い込みといった生活インフラの役割を担ってきました。

とりわけ高齢者にとっては“最寄りの銀行窓口”のような存在で、地域の日常を支える重要な拠点となっていたのです。

幌加内町の沼牛簡易郵便局については、再委託の事実は確認されず、2025年6月13日 に再開されています

日本郵便公式HPより

閉鎖直後の住民の反応

「年金が下ろせない」「15キロ先の本局まで行けない」といった声が相次ぎました。

特に、車を持たない高齢者ほど影響が深刻で、限られたバス便しかない地域では生活の足を完全に奪われた形です。

原因は「違法のおそれがある雇用形態」

道内6局の簡易郵便局が一時閉鎖された背景には、「再委託」というルール違反の疑いがありました。

法律と契約の原則から見て、なぜ問題となったのかを詳しく見ていきましょう。

簡易郵便局の運営ルールとは?

簡易郵便局は、日本郵便と契約を結んだ自治体や法人が運営を担っています。

このとき最も重要なのが、業務にあたる人は契約者が“直接雇用”している必要があるというルールです。

特に、年金の受け取りや貯金、振込といった「お金を扱う業務」は銀行法によって厳しく制限されています。

そのため、他人に仕事を“また貸し”するような再委託は一切認められていません。

これらの運営ルールは、契約書にも法令にも明記されており、全国共通の原則です。

発覚した“再委託”の実態

島牧村や知内町では、長年にわたって、地元住民に簡易郵便局の業務を任せていました

形式上は自治体が運営していますが、実際には契約していない第三者が窓口に立っていたことになります。

自治体は「慣例的に続けてきただけ」「問題はないと思っていた」と説明しましたが、日本郵便は「契約違反のおそれがある」と判断しました。

調査から閉鎖までの経緯

2025年5月、日本郵便は北海道内の簡易郵便局を対象に、雇用形態に関する実地調査を実施

その結果、6局で不適切な再委託の実態が確認され、順次「営業停止」の措置が取られました。

ただし、幌加内町の沼牛局については再委託が確認されなかったため、2025年6月13日に営業を再開しています。

閉鎖がもたらした地域への影響

金融や郵便サービスの停止は、過疎地で暮らす住民に深刻な影響を及ぼしています。

その実情を現場の声とともに紹介します。

年金・金融サービスへの直撃

簡易郵便局の閉鎖により、年金の受け取り、貯金の払い戻し、各種振込ができなくなり、生活資金の管理が滞っています。

高齢者はやむを得ず、タクシーやバスで遠方の本局まで移動する必要があります。

その分の交通費や時間が重い負担となり、生活防衛が一気に難しくなりました。

物流と日常手続きの停滞

簡易郵便局の閉鎖により、荷物の発送やゆうパックの受け取り、公共料金の支払いといった日常業務も停止中です。

観光シーズンを迎えた地域では、特産品の発送が遅れ、地域経済にも悪影響が及んでいます。

「毎週のルーティンが崩れてしまった」と嘆く声も少なくありません。

自治体と地域社会の混乱

「閉鎖は本当に必要だったのか」「代替窓口はどこか」といった問い合わせが自治体に殺到しています。

再委託を慣習としてきた自治体は、契約文書や業務記録の不備にも直面。

「なぜ今になって問題視されたのか」と戸惑いが広がっています。

再開の見通しと今後の課題

簡易郵便局の再開には、どのような手続きが必要なのか。

制度整備や再発防止策とともに、今後の方向性を探ります。

自治体の直接雇用への転換

島牧村と知内町では、これまで業務を担ってきた住民を「会計年度任用職員」として採用する方針です。

この形であれば、銀行法や契約要件を満たすことができ、営業再開の準備が整います。

ただし、人件費の捻出や研修の実施も課題です。

再開時期のシナリオ

幌加内町の沼牛局以外の5局については、雇用手続きや審査の進行によって、再開時期が左右される見通しです。

日本郵便は「可能な限り早期の再開を目指す」とコメントしていますが、具体的な日程は示されていません。

制度見直しと再発防止策

今回の問題を受けて、全国の簡易郵便局における雇用形態の実態調査が進む可能性があります。

契約と法令の内容を現場にまで浸透させるガイドラインの整備が求められます。

あわせて、住民への説明責任を果たし、地域との信頼関係を回復する取り組みが不可欠です。

まとめ|簡易郵便局は地域インフラの要

今回の簡易郵便局の一時閉鎖は、運営側が契約や法令を十分に理解・遵守していなかったことが背景にあります。

一方で、現場では長年の慣習に基づいた運営が行われており、突然の閉鎖に困惑する声が広がりました。

簡易郵便局は、過疎地域に暮らす人々にとってなくてはならない生活インフラです。

郵便や金融のサービスにとどまらず、地域のつながりや安心感を支える存在でもあります。

今後は、日本郵便と自治体がしっかりと連携し、法令を順守したうえでの再開を急ぐことが望まれます。

「ただの郵便局」ではなく、地域の命綱としての価値を、どう守り続けていくか。

この問題は、地方における公共サービスのあり方を見直す契機にもなりそうです。

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