ゆうばり映画祭主催NPOが破産!背景に何が?わかりやすく解説

北海道夕張市で30年以上の歴史を誇った「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」。

その主催団体であるNPO法人「ゆうばりファンタ」が、破産手続きの開始決定を受けました。

この記事では、破産に至った経緯や背景、ゆうばり映画祭の歴史と今後の動きについて詳しく解説します。

この記事でわかること
  • ゆうばり映画祭主催団体「ゆうばりファンタ」とは
  • 破産に至った背景と理由
  • ゆうばり映画祭の今後の展開
目次

ゆうばり映画祭主催団体「ゆうばりファンタ」とは

ゆうばりファンタの設立目的や主な活動について紹介します。

設立の経緯と活動目的

ゆうばりファンタは、北海道夕張市の文化振興と地域活性化を目指して設立された特定非営利活動法人(NPO法人)です。

1990年から続く「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」を地域振興の柱として支え、また「幸福の黄色いハンカチ思い出ひろば」の管理運営にも取り組むことで、市民や観光客の交流を促進する役割を担ってきました。

さらに、地域資源を活用した映像制作支援を通じて、映画文化の発信と若手クリエイターの育成にも力を入れていました。

このように、ゆうばりファンタは「文化によるまちづくり」を推進する団体として、地域と映画をつなぐ重要な役割を果たしていたのです。

主な運営実績

ゆうばりファンタの代表的な取り組みが、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」の主催です。

この映画祭は、国内外のファンタジー・ホラー・SF映画を中心に紹介するイベントとして高い評価を受け、夕張市の名を全国、そして海外にも広める役割を果たしました。

また、映画「幸福の黄色いハンカチ」のロケ地を再現した「幸福の黄色いハンカチ思い出ひろば」の管理運営も担い、観光資源の活用による地域活性化にも力を入れてきました。

このように、ゆうばりファンタは長年にわたり、夕張市の文化発信と地域再生を支える中核的な存在だったのです。

近年の運営状況

近年、ゆうばりファンタの運営体制には大きな課題が生じていました。

主な要因は、組織運営が実質的に一人の担当者によって担われる「ワンオペ」状態に陥っていたことです。

人的リソースの不足により、財務管理や事務手続きが適切に行われず、組織全体のガバナンスが著しく低下していました。

具体例として、映画祭受賞者への賞金未払いが発覚したほか、助成金の運用実態にも不透明な点が多数指摘されるなど、財務面での深刻な問題が表面化しました。

こうした事態が重なり、運営団体としての信用が急速に失われていったのです。

結果的に、ゆうばりファンタは地域の信頼を損ない、経営継続が難しい状況へと追い込まれていきました。

破産に至った背景と理由

ゆうばりファンタが破産に至った経緯を、主な出来事と背景に分けて詳しく解説します。

映画祭賞金の未払い問題

ゆうばりファンタの経営問題が表面化するきっかけとなったのが、映画祭受賞者への賞金未払い問題でした。

2023年に、受賞者への総額300万円の賞金が支払われていないことが判明し、運営体制への不信感が急速に広がりました。

受賞者への支払いは映画祭の信用に直結する重要な約束であり、その未履行は外部関係者からの信頼失墜を招く決定的な要因となりました。

夕張市の後援見送り

賞金未払いの発覚により、夕張市は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」への後援を見送る判断を下しました。

これにより、映画祭は市の公的支援や広報協力を失い、資金調達やスポンサー獲得が難航。

経済的な基盤が大きく揺らぎ、結果として主催自粛に追い込まれたことで、団体の収入源が絶たれました。

この打撃が、資金繰り悪化に拍車をかけました。

不透明な資金流出と借金問題

運営の精査が進む中で、助成金の不正流用疑惑や工事費の水増し請求といった深刻な問題が発覚しました。

特に、雨漏り修理名目で2700万円が支出されるなど、常識を超えた金額の取引が疑問視されました。

また、多額の借り入れが表面化し、内部の資金管理体制の甘さが明るみに出ました。

最終的な資金繰り悪化と破産申請

相次ぐトラブルにより、ゆうばりファンタは経営再建の道を絶たれました。

負債額は簿外債務も含めて約9700万円に達し、資産を差し引いても約9000万円の債務超過に陥りました。

自主再建は困難と判断され、最終的に2025年1月、札幌地裁から破産手続き開始決定を受けるに至ったのです。

ゆうばり映画祭の今後の展開

破産を受けて大きく揺れたゆうばり映画祭ですが、新たな体制のもとで未来へ向けた動きが始まっています。

有志の会による運営引き継ぎ

2024年以降、映画祭の運営は「ゆうばり有志の会」が引き継ぎました。

この新たな主催団体は、市民や映画ファンなど有志メンバーによって構成され、透明性の高い運営を目指しています。

破産した旧NPO法人との関係を明確に切り離すことで、信頼回復と映画祭再生を図ろうとする取り組みがスタートしました。

2025年「思い出映画祭」の開催予定

2025年には「ゆうばり国際ファンタスティック思い出映画祭」としてリニューアル開催が予定されています。

開催期間は10月17日から4日間、長編・短編・アニメーション・AI部門など幅広い作品を募集予定です。

かつての賑わいを取り戻すため、有志たちは新たな試みにも意欲的に取り組んでおり、地域との連携も重視されています。

運営再建への課題と期待

新体制にとって最大の課題は、信頼回復と持続可能な運営体制の構築です。

過去の不透明な運営に対する反省を踏まえ、財務の透明性や適切な情報公開が強く求められています。

同時に、国内外のクリエイターや観客から再び支持を得るための戦略も必要です。

地域文化のシンボルとして再生できるか、今後の運営努力に注目が集まっています。

まとめ|地域文化の象徴「ゆうばり映画祭」は再生できるか

ゆうばり映画祭の歴史と主催団体破産の背景、そして今後の動きについて紹介してきました。

この記事の内容をまとめると、以下のようになります。

  • ゆうばりファンタは文化振興を目的に設立され、長年映画祭を支えてきた
  • 運営体制の弱体化と財務不正により、破産手続き開始となった
  • 新たな有志の会が映画祭の開催を目指している
  • 2025年には「思い出映画祭」として35周年記念開催が予定されている

ゆうばり映画祭の再生を応援するためにも、ぜひ今後の動向に注目してみてください。

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