2025年7月24日、タイとカンボジアの国境地帯で両国軍の衝突が発生し、タイ側で少なくとも12人(民間人を含む)が死亡しました。
タイとカンボジアの双方が「先に攻撃された」と主張し、緊張は一気に高まっています。
この記事では、タイとカンボジアの衝突の原因、過去の対立、そして今後の見通しについて詳しく解説します。
タイとカンボジアが武力衝突!12人が死亡

2025年7月24日、タイとカンボジアの国境地帯で軍同士の武力衝突が発生しました。
場所は、プレア・ビヘア寺院近くの係争地。
国境線が不明確なため、たびたび争いの火種となってきた地域です。
タイ軍は「カンボジア側が先制攻撃を行った」と主張し、これに対してカンボジア側は「タイ軍が先に攻撃した」と反論。
また、タイ空軍がF-16戦闘機を投入し、カンボジア軍の拠点を空爆したとも報じられています。
民間人も巻き込まれ、ロケット弾がタイ側の村や商業施設に着弾するなど、被害は深刻です。
衝突の原因は領土問題

タイとカンボジアの衝突はなぜ起きたのか、その背景を解説します。
両国の対立には曖昧な国境線、歴史的な領有権争い、民族ナショナリズム、そして世界遺産登録をめぐる政治的対立といった、複数の要因が絡んでいます。
原因は国境線が未画定なため
タイとカンボジアの国境線は、19世紀末のフランス統治時代に引かれた地図がもとになっています。
しかしこの地図の精度や扱いをめぐって、両国の主張が食い違っており、特にプレア・ビヘア寺院周辺は「どちらの領土なのか」が明確ではありません。
この曖昧さが長年にわたるタイとカンボジアの火種となっています。
世界遺産登録が火種に
2008年、カンボジアがプレア・ビヘア寺院をユネスコ世界遺産に単独で登録申請したことで、対立が激化。
タイ側は「領土問題が未解決なのに一方的だ」と反発し、以降、軍事衝突が頻発するようになりました。
2025年にも緊張が継続
20255月には、国境付近で銃撃戦があり、カンボジア兵が死亡。
今回の7月の衝突では、ロケット弾がタイ国内に着弾するなど、民間人への被害も出ています。
さらに、国境検問所の閉鎖や貿易停止といった経済的な対立も表面化しています。
ナショナリズムや国内の政権支持率にも影響するため、政府が強硬姿勢を崩しづらく、対立の解消が難しい状況です。
これまでにも衝突があった?
タイとカンボジアの間では、今回に限らず過去にも複数の衝突が起きています。
過去の主な軍事衝突
以下は、タイとカンボジアの衝突の代表的な事例です。
- 2008年10月15日:国境付近で銃撃戦。カンボジア兵2人が死亡、タイ兵7人が負傷。
- 2008年以降:プレア・ビヘア寺院周辺で断続的な軍事衝突が継続。
- 2025年5月・7月:銃撃戦や空爆により死傷者が多数発生。
これらはいずれも、国境が正式に画定していないことが根本的な原因とされ、双方が「相手の挑発によるもの」と主張しています。
タイとカンボジアの今後どうなる?
タイとカンボジアの今後の展開については、不安定な情勢がしばらく続く可能性が高いとみられています。
緊張は長期化の見通し
今回の武力衝突を受けて、タイはF-16による空爆を実施し、カンボジアのフン・マネット首相は国連安全保障理事会に緊急会合の開催を要請しました。
タイ国内では10万人以上の住民が避難し、物流や経済活動への影響も拡大しています。
両国は6月に合同国境委員会(JBC)を開催し、平和的解決を模索していましたが、根本的な解決には至っていません。
解決には国際的な調整が必要
プレア・ビヘア寺院を含む係争地域の帰属問題は、地図の解釈や歴史的背景が絡む複雑な争点です。
今後、両国が直接協議を続けると同時に、国際司法裁判所(ICJ)やASEANの関与といった形で、外部からの仲介が求められる場面が増えると予想されます。
まとめ

2025年7月に発生したタイとカンボジアの国境衝突は、歴史的な領土問題と民族感情が絡む深刻な問題です。
2008年以降続いてきた緊張が再燃し、民間人の犠牲を伴う衝突にまで発展しています。
今後も両国の対話と国際的な介入が不可欠であり、すぐに解決する見込みは立っていません。
地域の安定と平和を実現するためには、歴史の整理と相互理解に基づいた長期的な努力が求められます。