2023年11月、札幌・ススキノのガールズバーで突如発生した爆発火災。
複数の負傷者を出し、現場に衝撃を与えたこの事件は、なぜ起きたのか──。
この記事では、事件の経緯から犯行の背景、被害の実態、そして火災がここまで拡大した理由までを、事実に基づいて詳しく解説します。
事件の全貌──ススキノで何が起きたのか
ガールズバーで突如発生した爆発火災
2023年11月26日、札幌・ススキノの繁華街にある雑居ビルで、衝撃的な爆発火災が発生しました。
火元となったのは、ビル2階に入っていたガールズバー。
午後3時過ぎ、突如店内で爆発が起こり、炎が一気に広がりました。
ビル内にいた男女10人のうち、20〜50代の男女5人が火傷などで負傷。
爆発の衝撃でビルのガラスは割れ、通行人も避難する騒動となりました。
容疑者は元交際相手、犯行の経緯とは
警察の調査によれば、火災の原因は人為的な放火でした。
犯行に及んだとされるのは、当時41歳の久保裕之容疑者。
店の女性従業員と交際していた過去があり、その関係が破綻した後に事件が発生しています。
久保容疑者は火災当日、札幌市内でガソリンを購入。
その後ガールズバーに向かい、店内にガソリンをまいて火をつけたとみられています。
現場の証言や防犯カメラの映像などから、計画的な犯行だったことがわかっています。
現場で起きた被害とその後の捜査
爆発と火災により、女性従業員や男性客などが重傷を負い、久保容疑者自身も全身に火傷を負いました。
その後、意識が戻ることなく12月に死亡。
警察は容疑者死亡のまま、放火および殺人未遂などの疑いで書類送検する方針を固めました。
事件の凄惨さと背景にある人間関係のトラブルは、地域住民や業界関係者に大きな衝撃を与えています。
事件に至るまでの経緯
交際から同居、関係悪化へ
久保容疑者と女性従業員は、数年前から交際を開始し、同居していた時期もありました。
当初は、プレゼントを贈るなど好意的な関係だったといいます。
しかし、2023年夏頃から、2人の関係性に変化が生じます。
束縛や暴言などが頻発し、女性は次第に精神的に追い詰められていきました。
久保容疑者の行動はエスカレートし、家の壁を蹴るといった暴力的な行為も確認されています。
警察への相談と対応の流れ
11月7日、女性は「彼氏と別れ話でもめている」と警察に相談。
これを受け、警察は女性を親族宅に避難させ、久保容疑者に対して口頭での注意を行いました。
その後も、久保容疑者はSNSなどで、復縁を迫るメッセージを送り続け、「別れていない」「他の男に取られたくない」といった異常な執着を見せていたとされています。
11月23日には、女性が「元交際相手が自殺をほのめかしている」と再び警察に連絡。
しかし、強制的な接触禁止措置などには至らず、事件を防ぐには至りませんでした。
事件発生当日の動きと放火の詳細
11月26日午後、久保容疑者はガソリンをバケツに入れて持ち込み、店内に撒いた上でライターで点火。
密閉された空間でガソリンが爆発的に燃焼し、ビル全体に衝撃が走りました。
警察の調査によると、現場にはガソリンの気化成分が広く検出されており、計画的な放火だったことは明らかです。
ガソリン放火の危険性と被害の拡大メカニズム
密閉空間でのガソリン使用がもたらす爆発的被害
ガソリンは非常に揮発性が高く、密閉された空間で撒かれた場合、気体となって一気に引火します。
火がつくと、瞬時に爆発的な燃焼を起こし、周囲の空気を巻き込みながら炎が拡大します。
特に、地下やビルの内部では、煙や炎の逃げ場がなく、被害が広範囲に及びやすくなるのが特徴です。
専門家が指摘する「気化ガス爆発」のリスク
今回のススキノ火災では「気化したガソリンに引火し、一気に火が走るように燃え広がった」と分析されています。
爆発による「体積膨張」で窓ガラスが割れ、そこから空気が入り、さらに燃焼が加速。
まさに最悪のシナリオが現実のものとなりました。
ススキノ雑居ビルの構造と火災拡大の要因
ススキノに多い古い雑居ビルは、避難経路が複雑で、構造も火災対策が十分でないケースが見られます。
今回のビルも例外ではなく、火災発生後に煙がこもりやすい構造だったことが、被害の拡大に拍車をかけました。
まとめ──事件から見える現実
今回は、ススキノのガールズバー火災について、事件の概要や経緯をまとめました。
ススキノで起きたガールズバー火災は、偶然の事故ではありませんでした。
交際トラブル、警察対応の限界、古い雑居ビルの構造、そしてガソリンという危険物――
いくつもの危険要素が重なり合った結果、あのような悲劇が起きたのです。
「なぜこんなことが起きたのか?」という疑問の先には、私たちが見落としがちな社会の課題があります。
今後、同様の事件を二度と起こさないためにも、放火の危険性や密閉空間での火災リスクを広く共有し、法制度や防火体制の再検討が求められます。
小さな違和感を見逃さないこと、そして身近な危険に目を向けることが、次の被害を防ぐ第一歩です。