北海道の広大な十勝平野の西部に位置し、豊かな自然と農業が息づく清水町。
この町で今、将来に向けた大きな検討が進められています。
それは、長年親しまれてきた町の名前を「清水町」から「十勝清水町」に変更するというもの。
昭和11年からおよそ90年にわたり「清水町」として歩んできたこの町が、一体なぜ、今このタイミングで名前の変更を検討しているのでしょうか?
約90年の歴史を持つ「清水町」
清水町は、畑作や酪農が盛んな、まさに十勝を代表する地域の一つです。
町の名前が「清水」となってから長い歴史がありますが、実は現地では既に「十勝清水」という名前が広く使われ、地域に根付いています。
すでに「十勝清水」が浸透
町を訪れる際に多くの人が利用するJR根室本線の駅名は「十勝清水駅」です。
また、地域の農業を支える重要な組織であるJAの名前も「十勝清水」。
さらには、町の公式ホームページを見ても、「十勝清水町」という表記が使われている箇所があります。
このように、町の正式名称は「清水町」でも、公共性の高い様々な場所で「十勝清水」という名前が日常的に使われているのです。
住民の声に見る、「十勝清水」の分かりやすさ
こうした現状に対し、町の人々からも
十勝にある清水町だから、普段から『十勝清水』って呼ぶのが自然だよ
ほかにも『清水町』って名前の自治体があるから、区別するためにも『十勝』を付けるのは分かりやすい
駅名も『十勝清水』だし、町名も駅と一緒の方が統一感があっていいと思う
といった声が聞かれます。
これは、「十勝清水」という呼び方が、地域住民にとって自然で、他地域の「清水町」と区別するためにも有効だと感じられていることの表れと言えるでしょう。
「なぜ今?」新しい町長が町名変更を検討する理由
なぜこのような状況の中、改めて町名そのものを変更しようという動きが、今になって始まったのでしょうか?
その一番の理由は、今年(2025年)2月に初当選したばかりの辻康裕町長が、新たな町の活性化策としてこの町名変更の検討を initiated(提起)したことにあります。
「十勝ブランド力」を活かした全国への発信
辻町長が町名変更に期待すること、それは「十勝の持つ強力なブランド力」の活用です。
町長は「十勝清水町とすることで、十勝のブランド力、清水町の持つ水の清らかなマチということで全国に発信していきたい」と語っています。
広大で高品質な農畜産物の産地として全国的に知られる「十勝」という名前は、それ自体が高い認知度と信頼性を持つブランドです。そ
こに清水町が持つ「水がきれい」というイメージを重ね合わせることで、「十勝清水町」という名前自体に高い訴求力を持たせ、全国に向けて効果的に町の魅力を発信したいと考えています。
知名度向上と特産品販売促進への期待
「十勝清水町」として全国への発信力を高めることの目的は、単に名前を知ってもらうことだけではありません。
その先には、町の知名度を向上させ、清水町が誇る畑作や酪農といった一次産業から生まれる特産品、例えばブランド牛である「十勝若牛」などを、さらに広く全国市場に売り出していきたいという明確な狙いがあります。
町名の変更は、これらの地域産品をプロモーションし、町の経済を活性化させるための重要な戦略の一つとして位置づけられています。
まとめ:町の未来をかけた「十勝清水町」への検討
北海道清水町が今、「十勝清水町」への町名変更を検討している背景には、新しい町長のリーダーシップのもと、「十勝」という強力な地域ブランドを最大限に活用し、町の知名度向上と特産品の全国への販売促進を図るという明確な戦略があります。
また、既にJR駅名やJA名称などで「十勝清水」という名前が地域に浸透しており、住民からも分かりやすさや区別のためといった点で受け入れられている現状も後押しとなっています。
町は今後、住民や関係者との議論を重ねながら、町名変更の是非について慎重に検討を進めていく方針です。
長年親しまれてきた名前が変わる可能性のあるこの動きは、清水町の未来を左右する重要な決定となるでしょう。
今後の議論の行方に注目が集まります。