「突然の店舗休業に驚いた」 「契約はどうなるの?」
大手脱毛サロンミュゼプラチナムの全店休業発表は、多くのお客様に不安を与えました。
そして、その裏では、運営会社の経営権を巡る激しい争いと、深刻な資金問題が進行していました。
しかし今、その状況は大きく変わり、「新生ミュゼプラチナム」として再出発の動きが加速しています。
この記事では、ミュゼプラチナムに何が起こったのか、その経営破綻の背景から、新たな運営体制「新生ミュゼ」による再出発の全貌までを詳しく解説します。
現在ご利用中のお客様が取るべき対応や、今後のミュゼがどうなるのかについても触れていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
ミュゼプラチナム、全店休業と経営破綻の背景
2025年3月22日から、突如として始まったミュゼプラチナムの全店一時休業。
この決定の背景には、運営会社であるMPH株式会社の深刻な経営問題と、複雑な内紛がありました。
きっかけは株式を巡る経営権争い
ミュゼプラチナムの全店一時休業の発端は、MPH株式会社の経営権を巡る内紛です。
合同会社トラストは、MPHに対し取締役の解任を突きつけ、2025年2月7日には「譲渡担保権の実行によりMPHの株式を取得した」と主張しました。
これに対し、MPH側は、この株式譲渡契約の有効性を否定し、真っ向から対立。
経営の主導権を巡る法廷闘争へと発展しました。
給与未払いと顧客混乱
経営権を巡る対立の煽りを受けたのは、他でもない従業員と顧客でした。
MPHでは、2月7日のトラスト代表取締役による体制下においても、給与の遅配が深刻化。
1月分の給与の30%に加え、2月と3月分の給与は全額が未払いという状況に陥っていました。
従業員のストライキに近い動きも発生し、これが店舗の一時休業に繋がったと見られています。

当然、顧客の予約も取れない状態となり、大きな混乱が生じました。
資金ショート、MPHは解散へ
給与遅配に加え、家賃や仕入れ代金の滞納も続き、MPHは深刻な資金ショートに陥っていました。
再建には、約100億円もの資金が必要と試算される状況で、当初予定されていた「国内優良企業からの資金支援」も具体化しないまま、2025年6月2日付でMPH株式会社は解散を決定しました。
通常清算、または特別清算の手続きに移行しています。



この解散決定により、多くの顧客の未消化契約や従業員の処遇が宙に浮く形となりました。
譲渡担保権って何?トラストとの係争をわかりやすく解説
ミュゼプラチナムの経営混乱の核心にあったのが、MPHと合同会社トラストの間で争われた「譲渡担保権」を巡る問題です。
この複雑な法的対立が、なぜ、MPHの経営を崩壊させるに至ったのでしょうか。
契約書の内容と「譲渡担保権」とは
問題の根源は、2023年10月8日にMPHとトラストの間で結ばれた業務委託契約書にあります。
この契約には、業務を執行しなかったり、金銭を支払わなかったりした場合、MPHの株式が担保となるという内容が含まれていました。
トラストは、495万円の広告作成費用の未払いを理由に、この契約に基づき、MPHの株式34%分の譲渡担保権を設定したと主張しています。
譲渡担保権とは:借金の返済が滞った場合に備え、あらかじめ債務者(MPH)が所有する財産(今回は株式)の所有権を債権者(トラスト)に譲渡することを約束する権利のことです。



返済が滞ると、債権者はこの権利を行使して、担保とした財産を自らのものにできます。
経営権は誰のもの?MPHとトラストの主張
トラストは、2025年2月7日に譲渡担保権の実行により、MPHの株式を取得したと主張し、取締役の解任などを通知しました。
しかし、MPH側は、この10月8日の契約書が社内のチェックを経ていないこと、そして株式の譲渡承認や株主名簿の名義書換が未完了であることを理由に、トラストが株主としての権利を行使できないと主張しました。
実際のMPHの株主構成は、グローバルブリッジファンド合同会社(GBF)が99.01%、三原氏が0.99%でした。



つまり、トラストの主張が認められれば、MPHの経営権が大きく揺らぐことになったわけです。
法的対立が招いた経営崩壊
この経営権を巡る法廷闘争は、MPHの経営に、決定的な打撃を与えました。
外部からの資金調達が困難になり、従業員への給与支払いや家賃の滞納など、経営状況は悪化の一途を辿りました。



結果として、この法的対立はMPHの業務継続を困難にし、最終的な解散へと繋がる大きな要因となったのです。
“新生ミュゼプラチナム”とは?復活の鍵を握る新体制
MPHの経営が崩壊する中、ミュゼのサービス継続と顧客の救済のため、新たな動きが始まりました。そ
の中心にいるのが、グローバルブリッジファンド(GBF)が主導する「新生ミュゼプラチナム株式会社」です。
GBFが筆頭債権者として再建に動く
GBFは、MPHに対して、約60億円を貸し付けていた筆頭債権者です。
MPHの経営が立ち行かなくなる中で、GBFは債権回収のため、そして何よりもミュゼのブランド価値と顧客を守るために再建に乗り出しました。
2025年3月10日、期限の利益が喪失した約10億円の債権に対し、MPHの子会社であったメンズミュゼと関連2社の株式による代物弁済契約を締結しました。
メンズミュゼが母体に、新会社が設立
この代物弁済契約により、GBFは「メンズミュゼプラチナム」の経営権を取得。
そして、その運営を担ってきたのが、現在の「新生ミュゼプラチナム株式会社」です。
MPHとの資本関係・経営関係は一切ない完全に独立した法人として、ミュゼのサービスを引き継ぐための新体制が構築されました。
これにより、MPHとトラストの係争が長引いても、顧客や従業員への影響を最小限に抑え、サービスを継続できる体制が整えられたのです。
置き換えコースと都度払い制で顧客救済
新生ミュゼプラチナムは、MPH社の解散決定を受け、MPHで契約中の顧客へのサービス継続を最優先に考えました。
MPH社との契約で有償の未消化回数が残っているお客様を対象に、既存の契約内容を引き継ぐ形で「置き換えコース」を提供しています。
これにより、お客様はこれまで支払った費用が無駄になることなく、引き続き施術を受けられるようになりました。
さらに、新たに施術を希望するお客様や、MPHでの有償回数を消化済みのお客様向けに、都度払い制コースも導入されました。
これは、1回ごとに料金を支払う形式で、契約への不安を抱えることなく、お客様自身のペースで通える柔軟なサービス設計となっています。
新生ミュゼプラチナムは、MPHの従業員約1000名のうち、約400名が移籍を希望していることも明らかにしており、雇用維持にも努めています。



また、未施術顧客10万人への対応として、フランチャイズ展開や海外展開などの構想も練っており、全国の顧客にサービスを提供し続けるための工夫を凝らしていく方針です。
店舗はどこが営業再開?北海道・全国の再開スケジュール
新生ミュゼプラチナム株式会社は、2025年6月より、ミュゼプラチナムの一部サロンの運営を引き継ぎ、順次営業を再開しています。
北海道の店舗も含まれていますので、ご確認ください。
新生ミュゼプラチナムが運営を引き継ぎ、営業を再開する店舗は以下の通りです。
- <6月1日再開>
- ミュゼプラチナム 阪急梅田駅前店 (大阪府)
- ミュゼプラチナム グラン四条河原町店 (京都府)
- ミュゼプラチナム 天神店 (福岡県)
- <6月4日再開>
- ミュゼプラチナム 横浜西口エキニア店 (神奈川県)
- <6月6日再開>
- ミュゼプラチナム 名古屋駅前店 (愛知県)
- <6月10日再開>
- ミュゼプラチナム 札幌ル・トロワ店 (北海道)
これらの店舗は、新生ミュゼプラチナムの直営店として運営されます。



今後もMPH株式会社と連携しながら、より多くのお客様に施術を提供できる体制を整備していく方針です。
契約中の人はどうすればいい?利用者が取るべき対応まとめ
現在、ミュゼプラチナムと契約中でサービス継続を希望されているお客様は、以下の情報を確認し、適切な対応を取ることが重要です。
「置き換えコース」対象者の確認方法
MPH株式会社とのご契約において、有償の未消化回数が残っている人が「置き換えコース」の対象となります。
- 確認・予約方法:
- ミュゼ会員マイページにログインしてください。
- ログイン後、表示された「置き換えコース」の詳細を確認します。
- 「予約する」ボタンから、ご希望の営業再開店舗を選択し、施術を申し込んでください。
- 予約開始は2025年6月1日からとなっています。
未消化回数がない場合の対応
現時点では、コースに含まれる有償の施術回数をすでに使い切られている方は、「置き換えコース」の対象外となります。
しかし、新生ミュゼプラチナム株式会社は、これらの顧客にも今後利用できる新たなサービスの提供を検討しており、準備が整い次第、改めて案内する予定です。



今後の公式発表を注視しましょう。
消費者センターやクレジット会社への相談も選択肢
万が一、サービス提供に不安がある場合や、自身の契約が「置き換えコース」の対象外となる場合は、消費者センターやクレジット会社への相談も検討すべき選択肢です。
- 消費者センター:全国の消費生活センターで、美容脱毛サービスに関する相談を受け付けています。契約内容や状況に応じて、適切なアドバイスを受けることができます。
- クレジット会社:契約時にクレジットカードを利用した場合、カード会社に相談することで、支払いの停止や返金について交渉できる可能性があります(状況や契約内容によります)。
不安な点があれば、一人で抱え込まず、専門機関に相談することが大切です。
まとめ:激動のミュゼプラチナム、新生としての挑戦
この記事では、ミュゼプラチナムが経験した経営破綻の背景から、「新生ミュゼプラチナム」としての再出発の全貌をお伝えしました。
この記事の要点まとめ
- 運営会社MPHの経営権を巡る内紛と資金難が、全店休業の引き金となった。
- 深刻な給与未払いが発生し、MPHは最終的に解散を決定した。
- グローバルブリッジファンド(GBF)が筆頭債権者として再建を主導。
- メンズミュゼを母体とする「新生ミュゼプラチナム」が設立され、サービスを継承。
- 「置き換えコース」や「都度払い制コース」導入で顧客救済を図り、一部店舗は営業を再開。
ミュゼプラチナムは大きな試練に直面しましたが、新生ミュゼプラチナムとして再建への道を歩み始めています。
今後の発表にご留意いただき、安心してサービスを利用できる未来に期待しましょう。