89歳で亡くなった「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄氏に、政府が「従三位」を贈ることを決定しました。
この記事では、その速報の詳細とともに、「従三位」とは何か、なぜ長嶋氏がこの高い栄誉に選ばれたのかを、わかりやすく解説します。
国民的スターに国家最高級の敬意

政府は2025年7月1日の閣議で、6月3日に89歳で亡くなったプロ野球界のレジェンド、長嶋茂雄氏に「従三位(じゅさんみ)」を贈ることを決定しました。
「ミスタープロ野球」と称され、読売巨人軍の終身名誉監督でもあった長嶋氏は、現役時代から圧倒的な人気と実力で多くのファンを魅了しました。
監督としても数々の名場面を生み出し、日本野球の発展に大きく貢献しています。
林官房長官は記者会見で、「天覧試合でホームランを打つなど大活躍をされた偉大な選手であるとともに、監督時代にも素晴らしい業績を残し、後進の育成にも多大なる功績を残しました」と語りました。
国民的スターとしての存在感とともに、その功績が国家から高く評価されたことを強調しています。
長嶋氏は2013年に松井秀喜氏とともに「国民栄誉賞」を受賞。2021年には、野球界から初めて「文化勲章」も受章しました。
今回の「従三位」授与は、これらの栄誉にさらに重みを加えるものとなりました。
長嶋茂雄さんに従三位を贈る理由

長嶋茂雄さんに「従三位」が贈られたのは、その生涯を通じた並外れた功績が、国家レベルで高く評価されたためです。
長嶋氏は、選手として、監督として、そして「ミスタープロ野球」として、戦後日本のスポーツ界を象徴する存在でした。
華麗なバッティングと華のあるプレーで、多くのファンを魅了し、プロ野球の人気を押し上げました。
日本における野球の地位を確立させた功績は、計り知れません。
林官房長官は記者会見で、「プロ野球ファンだけでなく、国民からも愛された真のスターだった」と述べています。
単なるスポーツ選手ではなく、社会に希望と活力を与える存在だったことが、国家として評価されたのです。
長嶋氏は生前、「国民栄誉賞」や「文化勲章」という極めて栄誉ある賞を受章しています。
今回の「従三位」授与は、これらの表彰に加えて、国家がその生涯の功績を公式に称えるものであり、追悼と敬意の証しといえます。
「従三位」は、国家や社会に特に顕著な貢献を残した人物に、死後贈られる非常に格式の高い栄典です。
今回の授与は、長嶋茂雄さんが日本社会に与えた影響の大きさを、国として公式に認め、永く記憶にとどめることを意味しています。
「従三位」とはどんな位か
「従三位(じゅさんみ)」は、日本の伝統的な栄典制度のひとつである「位階(いかい)」において、極めて高い格式を持つ等級です。
位階制度の中での位置づけ
「従三位」は、「正三位」の下、「正四位」の上に位置する高位であり、古代律令制に基づく官人(役人・貴族)の序列に端を発します。
この制度では、三位以上の人物は「公卿(くぎょう)」と呼ばれ、国家の中枢に関わる重職とされてきました。
そのため「従三位」は、名誉称号としても非常に重みのあるものとされています。
現在では、位階は、主に、故人に対して授与される栄誉として用いられており、個人の生涯における国家・社会への貢献を称える目的で贈られます。
授与される際には、正式な証書である「位記(いき)」が遺族に渡されます。
具体的な授与対象と基準
「従三位」が授与される対象は、国政や地方行政、学術、文化、芸術、スポーツなどの分野で、国家に顕著な貢献をした故人です。
たとえば、以下のような人物がこれまでに授与されています。
- 元国会議員、都道府県知事、中央官庁の事務次官などの高級官僚
- 学者、芸術家、文化人で文化勲章受章者など
- 社会的に大きな影響を与えた著名人・功労者
長嶋茂雄氏の場合も、野球という一つの競技を通じて、国民の心を動かし、文化的にも社会的にも多大な影響を与えたことが評価されました。
このように「従三位」は、単なる表彰を超えて、国家としての公式な「感謝と敬意」を示すものなのです。
他の栄誉との違いは?

長嶋茂雄氏はこれまでに「国民栄誉賞」「文化勲章」という日本を代表する栄誉を受章してきました。
今回の「従三位」は、それらとどう異なるのでしょうか。
3つの栄誉の比較表
以下に、それぞれの性格や授与主体、格式の違いをまとめた比較表を示します。
名称 | 性格・目的 | 授与主体 | 格式・位置づけ |
---|---|---|---|
国民栄誉賞 | 国民に希望と敬愛を与えた人物を表彰 | 内閣総理大臣 | 栄典制度の外、表彰 |
文化勲章 | 文化の発展に特に顕著な功績を残した人物に授与 | 天皇(国事行為) | 勲章として最高位の一つ |
従三位 | 国家・社会に特に顕著な功労を残した故人に贈られる位階 | 天皇(国事行為) | 位階として極めて高位 |
それぞれの役割と評価
「国民栄誉賞」は、スポーツや芸能、文化など幅広い分野で国民に感動や希望を与えた人物に贈られる賞です。
社会的共感や人気が重視される点が特徴です。
一方、「文化勲章」は文化・学術分野に限定され、国家レベルで文化の発展に貢献したとされる人物が対象となります。
こちらは、文化的な専門性や業績が重視されます。
今回授与された「従三位」は、国家や社会に対する生涯の貢献そのものに対して贈られる「位階」であり、死後にのみ授与される極めて格式高い名誉です。
そのため、これら3つは、受章者の業績や社会的影響力を多角的に捉え、それぞれ異なる観点から評価・顕彰するものです。
まとめ

長嶋茂雄氏に贈られた「従三位」は、日本の国家が最高レベルの敬意を示す、極めて格式高い栄典です。
「ミスタープロ野球」として国民に夢と感動を届け続けたその生涯は、スポーツの枠を超え、日本社会そのものに大きな影響を与えてきました。
すでに「国民栄誉賞」や「文化勲章」を受章していた長嶋氏に、「従三位」が贈られたことは、国家として彼の功績を改めて称え、永遠に語り継いでいく意思の表れです。
私たちも、長嶋茂雄という偉大な人物の軌跡に思いを馳せ、その意義をこれからの世代に伝えていきましょう。