鹿部町でカキの出荷ストップ|貝毒のリスクと仕組みをやさしく解説

北海道・渡島管内の鹿部町で、地元産カキの出荷が自主的にストップされました。

理由は「貝毒」。

ニュースを見て、「そもそもカキの貝毒って何?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。

この記事では、まひ性貝毒のしくみやリスク、カキが毒を持つ理由などを、初めての人でもわかるように解説します。

目次

カキの出荷が止まった理由は「まひ性貝毒」

2025年6月3日、北海道は鹿部町のカキからまひ性貝毒が基準値を超えて検出されたと発表しました。

これを受け、鹿部漁協は出荷を自主規制

人の健康への影響を防ぐため、数値が安全基準を下回るまで出荷を見合わせる判断がとられています。

この対応は、地域漁協による自主的な判断であり、食の安全を最優先する措置です。

まひ性貝毒とは?加熱しても消えない強い毒

カキに含まれる「まひ性貝毒(PSP)」は、自然界に存在する強力な神経毒です。

熱にも強く、加熱調理しても分解されないため、安全な数値を守ることが極めて重要とされています。

原因は“毒を持つプランクトン”

この毒は、カキやアサリなどの二枚貝が、有毒な植物プランクトン(例:アレキサンドリウム属)を食べることで体内に蓄積されます。

見た目では毒を含んでいるか判別できないため、食べる側が防ぐのは難しく、検査と規制が唯一の防衛線です。

毒の正体とその特徴

  • 代表的な毒成分:サキシトキシン、ゴニオトキシン
  • 性質:フグ毒と同様の神経毒で、加熱しても無毒化できない
  • 蓄積部位:主にカキの「中腸腺(消化器官)」

なぜカキが毒を持つのか?海の自然現象によるもの

カキが毒を持つ理由は、人為的な原因ではなく、海の中の“自然の食物連鎖です。

有毒プランクトンを取り込む仕組み

カキは水を濾過しながらプランクトンを餌として取り込むため、有毒プランクトンが大量発生する海域では、知らず知らずのうちに毒も取り込んでしまいます。

毒が濃縮されるのは、カキの消化器官。

体の一部に蓄積されるこの毒が、人間にとっては非常に危険です。

毒の増減は環境次第

プランクトンが減少したり、毒のない海域に移された場合、カキの体内毒素は時間をかけて減っていきます。

ただし、どのくらいで無毒化されるかは個体差や環境条件によるため、定期的な検査で安全を判断するしかありません。

どんな症状が出る?命に関わる危険も

まひ性貝毒の怖さは、軽い症状から命に関わる重篤な状態まで引き起こすことです。

主な症状

  • 食後30分以内に、舌・唇・顔のしびれ
  • やがて手足のまひ、言語障害、めまい
  • 重症の場合は呼吸まひから死亡することも

致死量の目安

毒性は非常に強く、60kgの人で約3,000〜20,000マウスユニット(MU)が致死量とされています。

そのため、少量であっても油断は禁物です。

出荷前にどう管理されているのか?

日本では、まひ性貝毒の安全基準を「可食部4MU/g以下」と定めています。

この基準を超えた場合、出荷は禁止または自主規制されます。

モニタリング検査が要

各海域では定期的にプランクトンや貝の毒性検査が行われており、市場に出回る前にチェックされています。

今回の鹿部町のケースも、こうした検査体制によって速やかに異常が発見され、出荷ストップという安全対策が取られたわけです。

まとめ|カキは美味しいが、自然の毒にも要注意

まひ性貝毒は自然由来の神経毒で、見た目や加熱では判断・除去できません。

だからこそ、地域の検査体制と漁協の判断が私たちの食卓の安全を守っているのです。

この記事の内容をまとめると、以下の通りです。

  • 鹿部町では、カキからまひ性貝毒が検出され自主規制中
  • 毒はカキが有毒プランクトンを摂取することで体内に蓄積される
  • まひ性貝毒は加熱しても消えず、強い神経毒で死亡例もある
  • 毒の有無は外見で判断できず、検査体制が安全確保の鍵
  • 自己採取のカキを食べる場合は、自治体の情報を必ず確認することが重要

「カキが毒を持つことがある」と聞くと不安になるかもしれませんが、きちんと検査が行われ、危険なものは市場に出ない体制が整っています。

だからこそ、こうした情報を知り、安心しておいしく味わえる環境を大切にしていきましょう。

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