滝川駅前には、今も空きビルが残り、さみしい景色が広がっています。
滝川駅前をもっとにぎやかにしようと、滝川駅前再整備事業が進められてきました。
この記事では、滝川駅前に何ができるのか。
滝川駅前再整備事業の計画内容や予算、今後の課題までわかりやすくまとめました。
解説します。
滝川駅前の現状は?

滝川駅前にどのような課題があるのか、現在の状況を具体的に紹介します。
空きビルや閉店店舗が並ぶ駅前


JR滝川駅を出ると、目に入るのは閉鎖された建物が並ぶ景色です。
特に目立つのが、2021年に閉館した「旧スマイルビル」。
スマイルビルは、地上4階・地下1階建て、延べ床面積約2万4千平方メートル。
大規模な建物でしたが、現在は使われず、そのまま放置されています。
ガラス窓や外壁の傷みも目立ち、駅を訪れた人に「さみしい印象」を与えてしまう状況です。
商店街も活気不足、市民ホールも閉館状態
駅前の商店街「ベルロード」では、以前は多くの買い物客でにぎわっていましたが、近年はシャッターが閉まった店舗が目立つようになっています。
新型コロナの影響もあり、人通りはさらに減り、かつての活気を取り戻せていません。
加えて、2022年には駅から離れた場所にあった市文化センター内ホールも閉館。

これまでコンサートや演劇、地域の集まりに使われてきた施設がなくなり、市民活動の場が少ないことも課題です。
地域のイベントやサークル活動がしづらい状況が続いています。
市民の声:「駅前を早く整えてほしい」
滝川駅前の現状に対して、市民からはさまざまな声が上がっています。
- 「駅前がさみしい」
- 「滝川の顔としてふさわしい景観にしてほしい」
- 「文化活動の場所を早く確保してほしい」
特に、旧スマイルビルの解体が進んでいないことや、市文化センターの代わりとなるホール機能がないことに対する不満や不安が多く聞かれます。
滝川駅前はどんなふうに整備されるの?
滝川駅前再整備事業で、どのような施設ができるのか。計画のコンセプトや具体的な内容、整備方法についてまとめます。
コンセプトは「私たちの居場所」と「新たな滝川の顔」
滝川駅前再整備のコンセプトは、次の2つを柱としています。
① 私たちの居場所づくり
- 学生が勉強やおしゃべりを楽しめる場所
- 親子や多世代が交流できるスペース
- イベントやフェスティバルが開ける場
- 公共交通の待合やちょっとした休憩場所としても使える空間
誰もが自然に立ち寄り、ゆるくつながれる居心地の良い空間づくりが目指されています。
② 新たな「滝川の顔」づくり
- 滝川の歴史や文化、観光資源を発信
- チャレンジや活動の場をつくり、魅力を発信
- 駅前のイメージ転換
まち全体の魅力アップにつながる再整備を目指しています。
整備される主な施設とその特徴
どのような施設が整備されるのか、具体的な内容を紹介します。
- 駅前交流施設(新ホールを含む)
-
多目的ホールやコミュニティラウンジ、飲食・物販スペースを備え、市民が集まりやすい環境を整備。
新ホールは、演奏会や演劇など幅広いイベントに対応できる設備が整えられます。
- 野外交流広場
-
季節ごとの催しやマーケット、音楽イベントなどが行える屋外スペース。
キッチンカーや屋台の出店も想定され、地域のにぎわいづくりに活用されます。
- 駅前市民駐車場
-
駅前エリアの利便性を高め、多くの人が訪れやすくなるよう整備予定。
約100台分の駐車場が設けられる計画です。
設計・運営は「DBO方式」で民間委託
今回の滝川駅前再整備事業では、設計や管理運営を一括して民間事業者に任せる「DBO方式」が採用されています。
DBO方式とは?
- 資金調達:市が行う
- 設計・施工・運営:民間事業者が担当
この方式を選んだ理由は、民間のノウハウを活用し、より効率的で柔軟な施設運営を実現するためです。
運営費の削減や市民サービスの向上につながると期待されています。
滝川駅前の整備のスケジュールは?
滝川駅前再整備事業がどのようなスケジュールで進められる予定だったのか、そして現在の状況について解説します。
当初の計画スケジュール
当初は2024年度中に基本計画をまとめた上で、次のような流れで事業を進める予定でした。
- 2025〜2026年度:事業者選定・設計
- 2027〜2028年度:建設工事
- 2029年度:供用開始
市民ワークショップや意見交換を重ねたうえで、このスケジュールが描かれていました。
市立病院の経営悪化による一時停止
ところが、2025年度の予算編成時、滝川市立病院の経営悪化が深刻化。
患者数の減少や補助金縮小などの影響で、病院事業会計への繰り出し金が大幅に増え、市の財政を圧迫する状況となりました。
このため、滝川駅前再整備事業は一旦停止となりました。
ただし、事業自体を完全に取りやめるわけではなく、2027年度の事業再開を目標とする新たな方針が示されています。
市は「白紙化はしない」と明言し、市民の期待に応える形で再開に向けた検討を続けています。
予算規模
滝川駅前再整備事業にはどのくらいの費用がかかるのか、現時点での試算額と今後の見通しを解説します。
駅前整備事業の概算事業費は、約59億円と試算されています。
この金額には、駅前交流施設や野外交流広場、駅前市民駐車場など主要施設の建設費や設計費用が含まれています。
すでに次の費用が使われています。
- 旧スマイルビル取得費用
- 基本計画策定費用
合わせて、約1億6千万円がすでに投じられた状況です。
今後は、市立病院の経営改善状況や建築費高騰の影響も考慮しながら、計画内容や事業費の見直しが行われる見通しとなっています。
必要に応じて、国や北海道からの補助金や地方債制度の活用も検討されます。
滝川駅前整備に関する今後の課題
滝川駅前再整備事業は、2027年度再開を目指す方針が示されていますが、実現までにはさまざまな課題があります。
ここでは特に重要となる4つの課題を紹介します。
① 財源問題が最大のネック
滝川駅前整備事業を進める上で最も大きな課題は、やはり財源の確保です。
滝川市立病院の経営改善に向けた取り組みは進められていますが、現状では以下の段階にとどまっています。
- 副院長をトップとした経営改善検討会議の設置
- 新たな国の制度活用に向けた情報収集
- 経営強化プラン実施支援業務の継続
医業収益の減少や物価高騰など複合的な要因が重なっており、短期間での改善は難しい状況です。
ふるさと納税や補助金だけに頼るのではなく、安定した資金計画が求められます。
② 駅前整備で本当に賑わいは戻るのか?
滝川駅前を整備しても、必ずしも人が集まるとは限りません。
滝川市の場合、国道12号バイパス沿いに大型スーパーや飲食店が集まっており、日常的な買い物は郊外で済ませる人が多いのが現状です。
- 駅前に商業施設がない
- 駐車場整備だけでは集客力不足
- 郊外型店舗との役割分担が必要
「駅前だけ」で人を集めるのではなく、周辺エリアも含めたにぎわい創出策が必要です。
③ 維持管理費・運営体制の確保
滝川駅前の施設を整備した後も、維持管理や運営にかかる費用や人材確保が欠かせません。
特にDBO方式で民間委託する場合でも、次のような課題があります。
- 赤字運営リスクへの備え
- 市民参加型運営のしくみづくり
- イベント企画やプロモーション人材の確保
滝川駅前整備後の「持続可能な運営」をどう確保するかが問われます。
④ 利用者ニーズの変化と周辺連携
人口減少や高齢化が進む中、利用者ニーズは常に変化します。
一度整備したら終わりではなく、柔軟な見直しや地域全体との連携が必要です。
- 若年層やファミリー層、高齢者まで幅広く使える施設運営
- 商店街振興組合やまちづくり会社との連携強化
- 観光資源や地域イベントとの連動
滝川駅前だけでなく、市全体で「顔づくり」に取り組む姿勢が大切です。
まとめ
この記事では、滝川駅前再整備事業の内容や今後の課題について紹介してきました。
滝川駅前の整備事業は、市民の交流拠点づくりと「滝川の顔」となる空間づくりを目指した大規模プロジェクトです。
ただし、市立病院の経営悪化などにより一時停止中で、再開までには財源確保や運営体制づくりなど多くの課題があります。
この記事の要点をまとめると次の5つです。
- 駅前整備のコンセプトは「私たちの居場所」と「滝川の顔」づくり
- 整備される施設は交流施設・野外交流広場・市民駐車場
- 事業費は約59億円で、現在は一時停止中
- 2027年度の再開を目標として市が方針を示している
- 財源問題や運営体制、駅前の賑わいづくりが今後の課題
滝川市のまちづくりにとって重要なプロジェクトだからこそ、市民一人ひとりが関心を持ち、再開に向けた動きを見守っていくことが大切です。