2025年7月、トランプ政権が中国人による米国農地の購入を禁止する方針を正式に発表しました。
さらに、すでに購入された農地を「奪還」する計画も進めているといいます。
このトランプ政権の大胆な政策の背景には、国家安全保障上の深刻な懸念があります。
スパイ活動の拠点化、農業システムの搾取、そして食料供給への影響──。
本記事では、トランプ政権の政策の詳細やリスク、今後の展開についてわかりやすく解説します。
トランプ政権、中国人の農地購入を全面禁止へ
2025年7月8日、トランプ前大統領率いる政権が新たな方針を発表しました。
内容は、中国人および中国企業による米国内の農地購入を全面的に禁止するというものです。
さらに、すでに中国資本が取得済みの農地についても「奪還」を検討するとしています。
この動きは、国家安全保障上の重大な脅威に対応するためと説明されました。
対象は中国に限らず、ロシアやイランなどの“敵対勢力”にも広がる可能性があるとしています。
発表された主な内容と対応策
今回の発表には、以下のようなポイントが盛り込まれています。
- 中国などの敵対勢力による新たな農地取得を全面的に禁止
- すでに取得された農地も対象とし、回収の方法を検討
- 米軍基地周辺など重要地域では監視を強化
- 州や連邦議会と協力し、関連する法律の整備を進める方針
ロリンズ農務長官は会見でこう語りました。
「敵対国に我々の土地を支配させることは決してない」
この発言からも、トランプ政権の強い危機感と決意がうかがえます。
なぜ今、中国の農地買収が問題に?
近年、アメリカ国内で中国企業による農地の買収が急増しています。
中でも注目を集めたのが、2022年のノースダコタ州での事例です。
中国企業が米軍基地のすぐ近くの農地を取得し、安全保障への懸念が一気に高まりました。
米国農務省のデータによると、
- 中国系企業が保有する農地は全体の0.02%(約30万エーカー)にすぎません。
それでも、食料供給や軍事機密への影響を及ぼすリスクがあるとして、問題視されています。
トランプ政権が警戒する「安全保障リスク」
トランプ政権は、中国人による農地購入が国家の安全を脅かすと強く主張しています。
その背景には、以下のようなリスクがあります。
- スパイ活動の拠点となる恐れ
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軍事施設の近くに農地を所有することで、情報収集や監視活動に利用される懸念があります。
- 農業技術の搾取と流出
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米国の農業技術や生産データが中国に渡る危険性が指摘されています。
- 食料供給への影響力行使
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外国資本が農業インフラを握ることで、米国の経済的自立が損なわれる可能性があります。
こうした理由から、トランプ政権内では、「農地購入は合法的な侵略」とみなす声が高まっています。
「奪還計画」は実現できるのか?
大きな注目を集めているのが、すでに取得された農地をどうやって“取り戻す”のかという点です。
現時点では、具体的な手順は明らかにされていません。
しかし、以下のような対応策が議論されています。
- 強制収用や政府による買い上げ
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国家安全保障を理由に、政府が農地を買い取る、あるいは強制的に収用する可能性があります。
- 新しい法律で保有を制限
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外国人による農地保有を違法とする新法を制定し、一定の猶予期間内に売却や譲渡を義務づける案も浮上しています。
- 公的機関による再配分
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一度連邦や州の機関が農地を管理し、米国籍の農業者に再配分する仕組みも検討されています。
ただし、こうした措置には課題もあります。
所有権の剥奪には米国憲法による制約があり、補償金の支払いや法的正当性の確保が必要不可欠です。
そのため、実行には時間と慎重な調整が不可欠と見られています。
今後どうなる?影響と展望
今回の政策が本格的に進められれば、アメリカの土地市場や農業政策、そして外交関係に大きな影響を与える可能性があります。
特に注目されているのが、中国との関係悪化です。
外交的な報復や、経済面での対抗措置が取られるリスクも十分にあります。
一方、国内ではこの方針を支持する声も多く上がっています。
「国土を守るのは当然」「食の安全保障を守れ」といった世論が、保守層を中心に広がっています。
この動きは、次期大統領選に向けた支持基盤の強化にもつながると見られています。
まとめ:農地は国の安全保障そのもの
トランプ政権は、中国人による米国農地の購入を全面的に禁止する方針を打ち出しました。
さらに、すでに取得された農地の回収(奪還)計画も進められようとしています。
背景にあるのは、スパイ活動の懸念、農業情報の流出、食料供給への影響といった深刻な安全保障リスクです。
今後は法整備や回収方法の議論が本格化し、外交・経済にも大きな波紋を広げることが予想されます。
農地は単なる不動産ではなく、国家の主権と自立を支える重要資産。
この動きがどこまで実行に移され、どんな影響をもたらすのか。
世界が注視するテーマとなりそうです。