小学館などに勧告!フリーランス法をわかりやすく解説

2025年6月、公正取引委員会が出版大手の小学館と光文社に対し、「フリーランス法」に違反したとして勧告を出しました。

報酬未払い、取引条件の未提示などが問題視され、法律施行後“初”の勧告ということで大きな注目を集めています。

このニュースをきっかけに、「フリーランス法ってなに?」「自分にも関係あるの?」と気になった方も多いはず。

この記事では、フリーランス法の基本的な内容を、初心者にもわかりやすく解説します。

目次

小学館・光文社が勧告された理由とは?

フリーランス法に違反したとして、公正取引委員会が小学館と光文社に勧告を出しました。

ここでは、その具体的な内容をわかりやすく整理します。

小学館は何をした?

2024年12月、小学館は、雑誌制作に関わる191人のフリーランスと取引を行いました。

その際、フリーランス法が求める報酬額や支払期日などの取引条件を、書面やメールで明示していませんでした。

さらに、報酬の支払いも60日以内に行われず、多くが誌面掲載後にずれ込んでいました。

これは、フリーランス法における「取引条件の明示義務」や「支払い遅延の禁止」に反する行為。

原因は、契約内容をきちんと書面化していなかったこと。

支払い期日を設定せず、あいまいな運用が常態化していた点にあります。

光文社の違反状況

光文社も同様に、2024年11月から2025年2月にかけて31人のフリーランスと取引を行いました。

ライターやカメラマンに対し、取引条件を提示せず、報酬の支払いも遅れるケースが発生しました。

こちらも、フリーランス法で定められたルールに反しています。

なぜ「公取初」の勧告?

フリーランス法は、2024年11月1日に施行。

その後、公正取引委員会が企業名を公表して勧告を出したのは、今回が初。

小学館と光文社のケースは、フリーランス法違反として初の具体的な処分事例です。

今後の運用における重要な前例となりました。


フリーランス法とは何か?

フリーランス法とは、フリーランスと企業との取引を公正に保つために作られた新しい法律です。

まずはその目的と基本的な内容を整理してみましょう。

法律の正式名称と制定背景

フリーランス法の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」。

2024年11月1日に施行されました。

このフリーランス法は、業務委託という形で働くフリーランスを守るために作られた法律です。

目的は「取引の公正化」

フリーランス法の最大の目的は、企業とフリーランスとの取引を公正にすることです。

これまで、取引内容があいまいだったり、報酬の支払いが遅れたりする問題が数多くありました。

フリーランス法は、こうしたトラブルを防ぐために、取引条件の明示や報酬の支払い期限などをしっかりと定めています。

対象者は誰?

フリーランス法の対象となるのは、従業員を雇わずに働く個人事業主や、一人社長などの事業者です。

たとえば、ライター。カメラマン。イラストレーター。講師。エンジニアや美容師、配送業者など、業種はさまざまです。

法人であっても、代表者1人だけで従業員がいない場合は、フリーランス法の保護対象になります。

発注元に課される義務と主要ルール

フリーランス法では、発注する企業側にいくつかの明確な義務が課されています。

ここでは、フリーランス法で定められている重要なルールを紹介します。

1. 取引条件明示の義務

フリーランス法では、企業がフリーランスに業務を依頼する際、取引条件を必ず明示するよう求めています。

業務内容、報酬額、支払い期日、契約期間などの重要な項目は、書面かメールで示さなければなりません。

口頭のみの説明では、フリーランス法に違反することになります。

2. 一方的変更・減額の禁止

契約が成立したあと、企業が報酬を減らしたり、納期を短くしたりするのはフリーランス法で禁止されています。

フリーランス法は、契約内容を尊重することを発注元に求めています。

勝手な変更は許されません。

3. 支払い遅延の禁止

フリーランス法では、報酬の支払いは「成果物を受け取ってから60日以内」と定められています。

この期限を超えて報酬を支払わないのは、フリーランス法に反する違法行為です。

未払いも同様に違反となります。

4. フリーランスに対するハラスメント禁止

フリーランス法では、ハラスメント行為も禁止対象です。

人格を否定するような発言や、無理な業務を押しつける行為などが該当します。

フリーランスであっても、働く人の尊厳は守られるべきだという考え方が反映されています。

5. 違反時のペナルティ

フリーランス法に違反すると、公正取引委員会が企業名を公表することがあります。

改善を求める「勧告」が出され、それに従わなければ「命令」が出されることも。

命令に従わない場合、最大で50万円の罰金が科されることがあります。

法人の場合には両罰規定もあり、企業全体が責任を問われます。

まとめ|フリーランス法で取引の公正化が本格化

この記事では、フリーランス法に違反したとして小学館と光文社が勧告を受けた件をきっかけに、フリーランス法の概要とルールについて解説しました。

フリーランス法は、フリーランスと企業の間の不公平な取引を防ぐために作られた新しい法律です。

取引条件の明示や報酬の支払い期限を義務化することで、フリーランスが安心して働ける環境づくりを目的としています。

今回の重要ポイントは以下のとおりです。

  • 小学館・光文社は、報酬額や支払期日を明示せず、報酬も遅延
  • フリーランス法は、2024年11月に施行された新法で、フリーランスの立場を守るための制定
  • 発注元は、取引条件の明示、一方的な契約変更の禁止、報酬の60日以内支払いなどの義務がある
  • 違反すれば勧告や命令、公表、罰金などのペナルティが科される

フリーランスとして働く人も、企業側も、フリーランス法のルールを理解することが重要です。

お互いにとって公正で透明な関係を築くための第一歩として、この法律をしっかり活用していきましょう。

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