「G7って、ニュースでよく耳にするけれど、実はよくわかっていない…」
そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか。
2025年6月には、カナダでG7サミット(首脳会議)が開催される予定です。
G7では、世界のリーダーたちが一堂に会し、経済や安全保障、AI、エネルギー問題など、地球規模の課題について話し合います。
この記事では、そうした疑問を持つ方に向けて、「G7とは何か?」をやさしく解説します。
G7の基本的なしくみから、2025年サミットの概要や議題までをまとめているので、読み終えた頃にはスッキリ理解できるはずです。
2025年6月にG7サミット開催
2025年のG7サミットは、6月15日から17日までカナダ西部のリゾート地・カナナスキスで行われます(日本時間では6月17日〜18日)。
議長国はカナダ。世界の重要課題をめぐって、先進7カ国の首脳が一堂に会する大規模な会議です。
それでは、そもそも「G7」とはどんな会議なのか、基本から見ていきましょう。
G7とはどんな国の集まり?基本をおさらい
このセクションでは、G7の参加国とその役割、成り立ち、そして他の国際会議との違いについて、わかりやすく整理します。
G7のメンバーと役割
G7は、経済力・政治的影響力の大きい先進7カ国に、欧州連合(EU)を加えた枠組みです。
G7の参加国は以下の通り。
- カナダ
- フランス
- ドイツ
- イタリア
- 日本
- イギリス
- アメリカ
- 欧州連合(EU)

G7は「7か国」による会合ですが、実際には欧州連合(EU)も代表者を送り、参加しています。
ただし、EUは正式メンバーではなくオブザーバー的な立場で、「7か国+EU」という形で運営されているのが実情です。
G7で主に話し合われるのは、経済・金融政策、安全保障、気候変動、保健、テクノロジーなど、地球規模の重要テーマ。
G7は、こうしたテーマについて首脳や関係閣僚が率直に意見交換できる「非公式な場」であることも特徴です。



G7は国連やG20と並び、国際社会での影響力が極めて大きく、世界の政治・経済の方向性を左右する場でもあります。
G7の始まりと歴史的背景
G7の起源は、1975年にフランスで開催された初のG7サミットです。
この会議は、オイルショック後の世界経済の混乱を受けて、先進国同士が非公式に集まり、率直な意見交換を行う場として始まりました。
当初のG7は、主に経済・通貨政策の調整が中心テーマでした。
しかしその後、国際社会の課題が多様化する中で、G7の議論も次第に広がっていきます。
現在のG7では、以下のような幅広いテーマが取り上げられています:
- 地政学的リスクや安全保障問題
- 人道危機や難民支援
- 気候変動やエネルギー政策
- 国際的な保健・医療協力
- デジタル技術やAIのガバナンス



G7は、単なる経済協議の場から、国際政治全体に影響を与える「多国間フォーラム」へと発展してきたのです。
他の国際会議と何が違うの?
G7は、国際的な課題を話し合う枠組みのひとつですが、よく比較されるのが「G20」や「国連(国際連合)」です。
ここでは、それぞれの違いを簡単に見てみましょう。
- ● G20とは?
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G20(Group of Twenty)は、G7に加えて、新興国を含む20の国と地域が参加する国際会議です。
経済規模の大きな国々(中国、インド、ブラジル、韓国など)も含まれており、より多様な視点から世界経済を議論します。
ただし、参加国が多いため、合意形成には時間がかかる傾向もあります。
- ● 国連(国際連合)とは?
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国連は、1945年に設立された国際機関で、193の加盟国が所属しています。
平和維持、安全保障、人権、開発支援など多岐にわたる分野で国際協力を推進する組織です。
加盟国の数が多く、多国間の利害調整が必要となるため、意思決定には慎重さと時間が求められます。
G7は、以下の点で他の会議体と異なります。
- 少人数構成で合意がスピーディー限られた先進7カ国+EUの参加で、迅速な議論と意思決定が可能。
- 共通の価値観を持つ国々自由、民主主義、法の支配という理念を共有し、方向性の一致が見られやすい。
- 非公式で柔軟な協議の場法的拘束力を持たないぶん、率直な対話や提案がしやすい場でもあります。



G7は「少数精鋭」「価値観の共有」「実務重視」という特徴により、スピード感ある国際協調を実現できる枠組みといえます。
2025年G7サミットの概要
2025年に開催されるG7サミットの場所、日程、そして今回ならではの注目ポイントについて紹介します。
開催地はカナダ西部・カナナスキス
2025年のG7サミットの舞台は、カナダ・アルバータ州の山岳リゾート地「カナナスキス」。
この地での開催は、2002年のG8サミット以来、2度目となります。



大自然に囲まれた落ち着いた環境は、G7首脳がリラックスしながら本音で議論を交わすのに最適な場所とされており、非公式な会話も促進されることが期待されています。
日程は6月15日〜17日、日本時間は17日〜18日
G7サミットは、現地時間で2025年6月15日から17日までの3日間にわたって行われます。
日本時間では17日〜18日の未明にかけて、各種セッションや会談が進められる予定です。



期間中には「ワーキングランチ」や「ワーキングディナー」など、食事を交えた非公式な討議も行われる見通しです。
今年のG7の特徴
2025年のG7サミットでは、これまで慣例だった「首脳共同声明」の発表を見送り、代わりにテーマごとの成果文書をまとめる新しい方式が採用される予定です。
これは、アメリカのトランプ大統領が掲げる「アメリカ第一主義」による各国との立場の違いを意識し、対立を避けつつ実務的な合意を重視する姿勢を反映したものとされています。
このように、2025年のG7は「対話と調整の実効性」に重きを置いた、これまでとは一線を画すサミットになると見られています。
2025年の主な議題と注目ポイント
2025年のG7サミットで話し合われる予定の主なテーマと、それぞれの背景や注目点についてわかりやすく解説します。
貿易問題と“アメリカ第一主義”
2025年のG7サミットでは、トランプ大統領が掲げる「アメリカ第一主義」が再び焦点となります。
特に、アメリカが各国に対して発動している関税措置に対し、他のG7参加国がどのような反応を示すかが注目されています。
今回は、包括的な貿易協定の議論や、関税引き下げをめぐる具体的な交渉も想定されており、G7の結束が問われる場面になりそうです。
中東・ウクライナ情勢への対応
中東では、イスラエルとイランの軍事的緊張が高まっており、また、ウクライナではロシアの侵攻が継続中です。
G7では、これらの地域情勢に対し、平和的解決や支援体制の強化、安全保障面での協力について議論が交わされる見通しです。
各国の対応方針の違いもある中で、G7としてどこまで一枚岩になれるかが問われます。
AI・鉱物資源・エネルギーの課題
技術と資源に関するテーマも、今回のG7の重要な議題のひとつです。
- AI(人工知能)の国際的なルールづくり
- 重要鉱物(リチウム・レアアースなど)の安定供給
- エネルギー安全保障と脱炭素化の両立
これらはすべて、G7諸国が主導権を握ろうとする分野であり、今後の世界経済や地政学に直結する要素でもあります。



サミットでは、将来に向けた国際的な枠組み作りが加速する可能性があります。
まとめ
今回の記事では、2025年6月にカナダで開催されるG7サミットについて、基本から議題のポイントまで解説してきました。
あらためて、この記事の要点をまとめてみましょう。
- G7とは: 経済力と政治的影響力を持つ先進7カ国+EUによる国際枠組み。
- 2025年のG7サミット: 開催地はカナダ・カナナスキス。日本時間で17〜18日開催。
- 主な議題: アメリカの保護主義に関する貿易問題、中東とウクライナの安全保障、AI・鉱物・エネルギーなど未来の課題。
このように、G7サミットは国際社会の舵取りに関わる大事な場です。
今回の内容を通じて、「G7って何だろう?」という素朴な疑問が少しでもクリアになったなら幸いです。
ぜひ、今後のG7関連のニュースにも注目し、世界の動きを身近に感じてみてください。