2025年4月、日本プロ野球(NPB)で「魚雷バット」の公式戦使用がついに解禁されました。
アメリカ・メジャーリーグ(MLB)で急速に広まったこの新型バットは、従来とはまったく異なる形状と機能で注目を集めています。
飛距離アップや振り抜きやすさなど、多くの打者にメリットがある一方で、合わないという声も。
この記事では、そんな魚雷バットの特徴や背景、メリット・デメリット、そして日本球界での使用状況について詳しく解説します。
- 魚雷バットの形状や特徴とは?
- なぜMLBで急速に広まったのか?
- メリットとデメリットの具体的な違い
- NPBでの使用状況や注目選手の動向
- 今後の普及の可能性と展望
魚雷バットとは?独特な形状と注目される理由
このセクションでは、魚雷バットのユニークな構造や注目されている理由について解説します。
従来のバットとは異なるデザインが、打撃にどのような変化をもたらすのかを見ていきましょう。
中央が太く、先端が細い「魚雷型」のデザイン
魚雷バットは、一般的なバットとは一線を画すシルエットを持っています。
最大の特徴は、バットの中央部分が最も太く、先端に向かって細くなるという逆テーパー形状です。
まるで魚雷やボウリングのピンのようなシルエットであることから「魚雷バット」と呼ばれています。
この独特の形状は、空気抵抗を軽減し、スイング時のスピードを損なわない設計。
従来のバットよりも先端が軽いため、操作性が高まり、バットを自在に操ることが可能になります。
芯(スイートスポット)が手元寄りで飛距離アップ
魚雷バットのもうひとつの革新は、芯(スイートスポット)の位置が従来より手元寄りにある点です。
これにより、打球がバットの芯から多少ズレても飛距離が伸びやすく、結果的に長打が生まれやすくなります。
特にMLBでは、速球や変化球に詰まらされるケースが多いため、魚雷バットの構造が有利に働きやすいとされています。
データ分析の結果でも、詰まりながらもフェンスを越える打球が増加しているとの報告もあり、バット自体の性能に対する信頼が高まっています。
ヘッドが軽く、振り抜きやすいのが魅力
一般的なバットは先端に重量が集中しているのに対し、魚雷バットは重心が手元側に寄っているため、バットの「ヘッドが走る」感覚が得やすいとされています。
結果として、振り抜きのスピードが上がり、打者のタイミングにも余裕が生まれるのです。
スイングスピードが上がることで、インパクトの瞬間により強い打球を生み出せるだけでなく、バットコントロールもしやすくなります。
この特徴は、特にコンパクトなスイングを重視する選手や、対応力を武器とするバッターにとって大きな利点となります。
なぜMLBで魚雷バットが急速に広まったのか?
技術革新だけでなく、実績や拡散力といった現代的な要因が重なり、魚雷バットはMLBで一気に注目を浴びる存在となりました。
その背景には、科学に基づいた開発と、インパクトのある試合結果が大きく影響しています。
HMIT出身の開発者が設計した科学的バット
魚雷バットは、元マサチューセッツ工科大学(MIT)の物理学者であり、ニューヨーク・ヤンキースの元アナリストであるアーロン・リーンハート氏によって開発されました。
彼は、現代のMLB投手の進化により、打者が厳しい状況に置かれていることに着目し、「科学的アプローチ」でその打開策を模索しました。
打者のスイング速度やミート率など、膨大なデータと物理モデルを活用して設計されたのが魚雷バットです。
重心や芯の位置、空気抵抗などが緻密に計算されており、単なる「形が変わったバット」ではなく、理論と実証に裏付けられた革新ツールなのです。
ヤンキースの本塁打量産が注目のきっかけに
魚雷バットが一気に脚光を浴びたのは、2025年シーズン開幕直後のヤンキースの大爆発によるものでした。
開幕3試合でチームが放った15本の本塁打のうち9本が魚雷バット使用者によるもので、これはMLB記録に並ぶ勢いの結果でした。
特にアンソニー・ボルピやオースティン・ウェルズといった若手選手が目立った成績を残したことで、他球団やメディアも一気に注目。
打撃の世界で**“バットの形状が変わると結果も変わる”**ということが現実として証明された瞬間でした。
他球団も続々導入を検討中
ヤンキースの成功例を受け、魚雷バットは他球団にも波及しつつあります。
特にレイズのジュニオール・カミネロや、オリオールズの若手選手たちが試用を開始しており、練習中に手応えを感じたという声も上がっています。
MLB全体で「次の標準バット」となる可能性が現実味を帯びており、各バットメーカーも競って魚雷型のモデルを開発中。
単なる一過性のブームではなく、次世代の主流となるかもしれないという予感が漂っています。
魚雷バットのメリットとデメリットを比較
すべての打者にとって万能なバットというわけではありません。
魚雷バットには確かな効果がある一方で、選手のスタイルや好みによって向き不向きがあります。
ここでは、実際に指摘されているメリットとデメリットを整理し、導入時の注意点についても解説します。
メリット|詰まりにくい・飛距離が出る・バットコントロール向上
まずは魚雷バットの主な利点から見ていきましょう。
- 「詰まりにくさ」
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芯(スイートスポット)が従来より手元に寄っていることで、インパクトが多少ズレても打球が失速しにくく、詰まったような当たりでも外野まで飛ばせるケースが増えます。
- 「飛距離の向上」
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スイングスピードの向上と相まって、打球に十分なパワーが乗りやすく、長打・本塁打の可能性が高まるとされています。
- 「バットコントロールのしやすさ」
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バランスが手元寄りなため、ヘッドが軽く感じられ、細かな操作がしやすくなります。特にインサイド寄りのボールに対応しやすくなるという声も多いです。
デメリット|グリップが細い・合わない選手もいる
一方、魚雷バットにはデメリットも存在します。
もっともよく挙げられるのが「グリップが細く感じる」という点。従来のバットと感覚が異なるため、手のひらに違和感を覚える選手も少なくありません。
また、すでに現在のバットで結果を出している選手にとっては、あえて新しい形状に切り替えるリスクもあります。
「振りやすさ」は人によって感覚が異なるため、すべての選手にとって快適とは限らないというのが現場のリアルな声です。
打撃スタイルに合わせた選択が重要
魚雷バットの効果を最大限に引き出すには、「自分の打撃スタイルに合っているか」を見極めることが欠かせません。
たとえば、ポイントを前に置いて強く振り抜くパワーヒッターよりも、ボールを呼び込んでコースに対応する柔軟な打者に向いている傾向があります。
また、スイングの始動が早く、バットを軽く感じたい選手にとっては理想的な選択肢となる可能性も。
逆に、バットの“重さ”を利用して飛距離を稼ぐタイプの選手にとっては、やや物足りなさを感じるかもしれません。
日本でも広がる魚雷バット|NPBでの使用例
2025年春、ついに日本プロ野球(NPB)でも魚雷バットの使用が公式に認められました。
これにより、MLBで話題を呼んだこの革新的なバットが、日本球界でも本格的に広がりつつあります。
HNPBでは2025年4月に公式戦使用が解禁
NPBでは2025年4月、公認野球規則に照らして魚雷バットがルール上使用可能であると正式に認められました。
これにより、プロ野球の公式戦でも使用が解禁され、各球団が導入を本格的に検討し始めています。
ルール適合性については、バットの長さや直径、材質などの基本条件をすべてクリアしており、「新形状ではあるが、正規のバットとして問題なし」と判断された形です。
この動きにより、今後日本でも魚雷バットの普及が進む可能性が高まっています。
阪神やロッテが試用開始、日ハム選手にも注目集まる
使用解禁を受けて、阪神タイガースや千葉ロッテマリーンズなど複数の球団が打撃練習で魚雷バットを試用していると報じられています。
選手たちの反応はさまざまで、「バットコントロールがしやすい」「振り抜きが軽く感じる」など、好意的な意見も多く聞かれます。
中でも注目されているのが、北海道日本ハムファイターズの動向です。
若手選手を積極的に起用するチーム方針もあり、新しいバットへの関心は高く、実戦での使用を視野に入れたテストが行われているとの情報もあります。

日ハムは新しいトレンドやツールの導入に積極的なチームなので、こういった革新的なバットとの相性は良さそう。
今後は、どの選手が魚雷バットを本格導入するか、そして打撃成績にどれだけの変化が出るのかが大きな注目ポイントです。
特に本塁打数や長打率の変化は、導入の成否を左右する指標になるでしょう。
まとめ|魚雷バットは打撃の新時代を切り拓くか
魚雷バットは、MLBでの実績と革新的な設計により、世界中のプロ野球界で急速に広まりを見せています。
NPBでも使用が解禁され、日本の球界にも新たな風を吹き込んでいます。
- 魚雷バットは、中央が太く先端が細い独特な形状が特徴
- 芯が手元寄りで、振り抜きやすく飛距離が出やすい構造
- ヤンキースの本塁打量産で一気に注目を集め、SNSで拡散
- メリットが多い一方で、使用感にクセがあり合わない選手も
- 2025年4月からNPBでも公式戦使用が解禁され、阪神や日ハムなどで試用が始まる
今後、打撃スタイルに合わせたバット選択がより重要になり、「魚雷バット」はその選択肢の一つとして確実に存在感を高めていくでしょう。