北海道増毛町に、保護猫と人がともに過ごせる新たな拠点が生まれようとしています。
旧老人ホームの建物を活用し、保護猫カフェと民泊が一体となった施設「くつろぎの家」が開業に向けて動き出しました。
運営を担うのは、町内在住の石坂直子さん。
地域の課題に寄り添いながら、猫の命と人の暮らしを支える場づくりに奔走しています。
- 保護猫カフェ「くつろぎの家」の開業内容と場所
- 地域で進むTNR活動と野良猫の課題
- 石坂直子さんの思いと、福祉を組み合わせた取り組み
- クラウドファンディングの概要と支援方法
増毛町に保護猫カフェ「くつろぎの家」が誕生へ

保護猫と触れ合えるカフェと、ペット同伴も可能な民泊がひとつになった施設「くつろぎの家」。地域資源を生かした新しいコミュニティ拠点です。
旧有料老人ホームを活用した新たな挑戦
町舎熊地区にある旧有料老人ホームの建物を全面改修し、1階をカフェ、2階を客室5部屋に整備。
延べ床面積は約230㎡と、ゆとりある空間を確保しています。
かつて地域を支えた施設が、今度は猫と人の居場所として新たな命を吹き込まれようとしています。
保護猫と触れ合えるくつろぎ空間
カフェには5卓ほどの客席が設けられ、保護された猫たちと触れ合えるつくりになります。
来店者はコーヒーや軽食を楽しみながら、猫と穏やかな時間を過ごすことができます。
猫にとっても、人との交流が次のステップにつながる大切な機会です。「くつろぎの家」の名前の通り、癒しの空間が形になります。
民泊はペット同伴可、地域にも開かれた場に
2階には5室の客室を設け、民泊として活用。
ペット同伴も可能で、観光客だけでなく、地元の人々にも開かれた施設として期待されています。
観光拠点としての役割も果たしつつ、動物と暮らす人にも優しい宿泊先になりそうです。
取り組みの背景にある猫と人の地域課題

この施設の背景には、増毛町が抱える動物と人間社会の共存に関する課題がありました。
野良猫による農業被害や交通事故が深刻化
猫の過剰繁殖により、畑を荒らされたり、夜間の鳴き声による騒音トラブルが発生するなど、地域の生活環境に影響が出ていました。
道路で車と接触し、命を落とす猫も後を絶たず、根本的な対策が求められていました。
住民によるTNR活動と地域猫への理解促進
地域の住民グループ「ましけネコ友の会」が2023年からTNR活動を始め、野良猫の繁殖抑制に努めています。
Trap(捕獲)、Neuter(不妊・去勢)、Return(元の場所に戻す)というこの活動は、猫と人の共生を目指すもの。
「くつろぎの家」はこの取り組みと連携し、地域全体での理解促進につながることが期待されています。
高齢化と飼育困難――人間側の事情も背景に
高齢化により、猫の飼育を続けることが困難になる家庭が増えています。
病気や入院を機に、やむなく飼育を放棄せざるを得ないケースもあります。
結果的に、行き場を失った猫が新たな野良猫として問題化してしまう悪循環が生まれているのです。
石坂直子さんの思いと構想、福祉との連携も視野に

「くつろぎの家」の構想を練ってきたのが、元保健師の石坂直子さん。
約30年間にわたって町の保健師として地域の暮らしに携わってきた経験を生かし、引退後も地域に貢献できる方法を模索してきました。
元保健師としての経験と「ましけ隣友会」
退職後は、地域の障害福祉に関心を持つ仲間とともに「ましけ隣友会」を設立。
その代表理事として、動物と人の両方が安心して関われる施設の立ち上げを構想し続けてきました。
「くつろぎの家」はその想いをかたちにしたものです。
B型事業所として障害者の就労支援も実現へ
将来的には、「くつろぎの家」を就労継続支援B型事業所として整備し、障害のある方々が猫の世話や接客などを通じて社会参画できる場を目指しています。
福祉と猫との関わりを両立させることで、誰にとってもあたたかく、役割のある場所にしていくというビジョンです。
資金はクラウドファンディングと私費で調達
施設の開業に必要な約1,000万円のうち、多くは石坂さん自身の私費によってまかなわれています。
残りの一部は、クラウドファンディングで募集中。
目標額は80万円で、受付は4月18日午後11時まで。特設サイトから誰でも気軽に支援が可能です。
共感した人々が資金面で参加できる仕組みも、地域型プロジェクトならではの強みです。
記事のまとめ

増毛町で開業を目指す「くつろぎの家」は、保護猫カフェとペット同伴民泊を備えた新しい福祉拠点です。
野良猫問題や飼い主の高齢化といった地域課題に応えるだけでなく、障害者の就労支援とも連動するこの取り組みは、人と猫がともに支え合う社会づくりへの一歩と言えるでしょう。
- 保護猫カフェと民泊が一体化した地域拠点「くつろぎの家」が増毛町に誕生予定
- 野良猫問題に加え、高齢化による飼育放棄などの背景に対応
- 石坂直子さんが元保健師としての経験を活かし構想を実現へ
- 将来的には障害福祉との連携も視野にB型事業所化を目指す
- クラウドファンディングは4月18日まで実施中(目標80万円)
地域を支える活動に共感した方は、クラウドファンディングを通じて「くつろぎの家」の立ち上げを応援してみてください。
猫たちと、人々の未来に、温かい場所がひとつ増えます。